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光と睡眠
関西も梅雨入り間近、いよいよの暑さ到来。エアコンで室内の温度調節までとはいかないけれど、就寝の布団は夏仕様でちょうどよくなってきました。暑いと寝苦しくって目が覚めてしまったりと熟眠を妨げられます。ちゃんと快眠して、身体をリセットしたいですよね。
不眠対策としてもすすめられる「日中に光を見ること」。光によって分泌量が変化するメラトニンというホルモンには睡眠と深い関係があります。
「徹夜あけで頭も体も疲れているのに、なかなか眠れない」このような経験ありませんか。これは徹夜による交感神経の興奮が治まらず、脳がなかなか睡眠モードに入れない事と「体内時計」に狂いが生じているから。体内時計は、地球の自転に合わせて、人体が毎日刻む生理的なリズムです。人間は朝起きて夜眠るという生活を続けています。このため真っ暗な部屋に閉じ込められたとしても、一定の時間に起床し、眠くなります。これが体内時計で「生物時計」とも言います。
晴天の朝の太陽光は2~10万㏓(ルクス)以上の明るさがあります。この強烈な光を浴びると、体内時計はリセットされ新たなリズムを刻み始めます。
①目から入った光の信号は、②神経を通して視交叉上核(シコウサジョウカク)に伝わり、③上頚神経節を経て、④松果体に届けられます。⑤光の信号を感じた松果体は、眠気を促す睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を抑え、逆に夕方になると分泌を増やすのです。
曇りでも照度は1万㏓以上ありますし雨の日でも5000㏓程度は確保できます。これは睡眠障害、うつ病治療などに用いられる高照度療法の照度が2500㏓程度であることを考えれば、体内時計をリセットするには十分な明るさです。
しかし、起床後十分に太陽を浴びなかったり、暗い部屋で過ごしたりしていると、体内時計は適切にリセットできず活動モードのスイッチが入りません。
このように、太陽の光は人間はもちろん地球上の動物、植物などあらゆる生物の生命維持に大きな影響を与えています。毎朝、太陽の光を十分に浴びて、たっぷり恩恵を受けましょう。
『睡眠と脳の科学』古賀良彦より参照抜粋
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